癌が発見

 

母から突然連絡が来た。

「担当の医師が家族に話があるから、付き添える日あるかな?」

 

とても嫌な予感がして、明日にでもすぐ行くと返した。

 

 

その日は朝から検査の機械の故障で3時間くらい待たされた。

その間待ち合い室で母と久しぶりにのんびりと他愛もない話をしていた。

 

ようやく午後になり機械が復旧して検査し、その後診察室で呼ばれて部屋に入った。

 

母は3〜40年ほど前から自己免疫疾患で、自分の細胞を自分で攻撃をしてしまう病気を患っていて

それは難病指定の病気だった。

 

それは子供の頃からも聞いてはいて、ゆるやかにする薬を飲み続けて経過観察を数十年続けていた。

ただ病院の体制が変わった事や医師が切り替わるタイミングもあり、2年くらいブランクがあったが

新しい担当医になってからも注視して観察はしていた。

 

そして1年前の検査の段階で黒い影が写ったが、その時は断定出来ないから経過観察となった

 

 

そして今回、はっきり真っ白く大きな印影が写っていて、なるべく早くに手術をしたいとの提案だった。

 

医師は腫瘍とか、悪さをするやつと濁して説明をしていたが

医療系の勉強をしていたらすぐにそれが何かは分かった。

 

入院の日にちや治療方法、今後の事など簡単に説明されて診察室を出た。

 

 

 

「あ、そういえば先生に聞きたかった事あったの忘れてた!ちょっと待ってて!」

と言い1人で診察室に戻った。

 

「これは癌ですよね?その処置方法だと対処療法ですよね?」と確認した。

 

医師はゆっくりと

「はい、癌で間違いありません。完治は出来ないので対処療法になります」

と医師から説明を受けた。

 

覚悟はしてたのでショックとかよりも、それなら自分が今出来る事はなんだろうと、

その瞬間は不思議と感情より現実的な思考でいっぱいになっていた。

 

 

その後戻ると、母は

「癌でしょ?大丈夫、分かってるよ」

と笑顔で言った。

 

その時自分はどんな表情をしていたのか全く思い出せない。

もしかしたら涙が出ていたのかもしれない。

マスクをしていた事だけが救いだった。

 

「大丈夫だよ!癌でもすぐ治るし、もしまたなったらまた治そう」

うなぎ屋さんで遅めのランチをしながら話して、母はそのまま自分の経営している保育室へ仕事に戻った。

「仕事をいい加減減らすなり辞めるなりして身体休めてよ」と伝えても

「あそこを閉めたら行き場のなくなる子がたくさん溢れるから」

と何十年も朝から晩まで、年末年始数日以外毎日働き続けている。

身体を削って人の為に尽くしてる人生を送ってる母

とてもかっこよく尊敬しているが、どうかもう自分の為の人生を過ごして欲しいと心から願ってる。